2011/02/08

市電の走るまち函館と新幹線

 函館市電は札幌市電とともに、北海道遺産となっています。1950年製造の還暦を迎えた500型530号はレトロ感いっぱいの車両で最近映画やドラマの出演機会も増えています。ドラマで加藤茶が扮する市電運転手が運転したのもこの530号でした。鉄道の線路の幅のことを軌間と呼びます。新幹線の軌間は1435㎜、JRの在来線や多くの私鉄、市電の軌間は1067㎜ですが、馬車鉄道から始まった東京都電と函館市電は馬車軌間と呼ばれる1372㎜幅です。東京都電との相互乗り入れを考え東急世田谷線と京王電鉄京王線はこの馬車軌間となっています。函館のまちを走る市電の除雪車は旧東京市電の車両でことし江戸東京博物館に展示される予定です。映画「海炭市叙景」に使われた1008号も元東京都電車両です。

 いま、北海道新幹線の札幌開業時、函館駅~新函館(仮称)駅間をJR北海道が運行継続しないとの表明が大きな問題となっています。富山市のJR富山港線が第3セクターの富山ライトレールに移管されLRT(次世代型路面電車)が運行されています。富山市内では路面電車を民間企業の富山地方鉄道によって運行しています。富山市は中心市街地の活性化を目的に半世紀以上前に廃止された環状線を地域公共交通活性化法を適用し上下分離方式で2009年に復活させています。2014年の北陸新幹線開業に向け富山駅は新幹線仕様の高架駅となるそうです。そして街を分断していたJR線が高架となることで市内電車(路面電車)とLRTをつなぐ構想もあるそうです。LRTと市内電車はともに軌間1067㎜です。
 
笹色ツートン色が復活した市電811号(古岡ともや本間かつみ事務所前にて撮影)
 函館市電と函館~新函館(仮称)駅間のリレー列車を繋げないだろうかと考えて見ましたが、軌間が違うこと、五稜郭駅~渡島大野駅間が非電化区間であるため電車運行が出来ないために難しそうです。JR北海道への運行継続を要望するのは勿論ですが、このさい新函館(仮称)駅を東北新幹線の終着駅としてJR東日本が運行していただければ問題は解決するするのではと真剣に考えてしまいます。多くの観光資源に恵まれた函館はJR東日本にとっても営業的にも魅力的な都市でしょう。いま札幌市では札幌市電の延長が議論され、東京でも銀座~晴海間に2020年代前半にLRTを導入する計画が持ち上がっています。函館の公共交通のあり方について問題提起をしていきたいと思います。

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